天然秋田杉・木曽ヒノキと並び、日本三大美林のひとつである天然青森ヒバ。そのほとんどが国有林であり計画伐採により資源は守られています。青森ヒバは、主には秋田県の津軽から下北両半島にかけて分布。ヒノキ科アスナロ属の針葉樹です。日本固有の樹種で、和名をヒノキアスナロといい、そのうちの約80%が青森県内に蓄積されています。
青森ヒバには昔から様々な効能があるといわれており、その源は、精油成分(ヒバ油)にあるとされています。今号は、この青森ヒバが持つ、知られざる効能をご紹介します。
青森ヒバに限らず、どの樹木も精油を備蓄しており、この精油の働きは、心材(丸太の芯の部分)を虫や菌から守ることです。通常樹皮に近い部分は、ヤニを出すなどして自ら傷を修復する能力を持っていますが、心材はそのような性質がないため虫や菌を寄せ付けないために精油を備蓄するようになったと考えられています。すべての木材の精油が多かれ少なかれ防虫や防菌の効果を持っていますが、なかでも効果が大きいとされるのが青森ヒバが持つヒバ油です。
ヒバ油の成分(資料1)は、酸性油と中性油にわけられますがそのほとんどを中性油(約90%)が占めています。中でもツヨプセンというヒバならではの心地よい香りを放つ成分が多く含まれます。また、微量ではありますが酸性油であるヒノキチオールも注目すべき効果を発揮します。これらの精油成分の主な効能とはどのようなものなのでしょうか。
1.菌から守る 【殺菌・抗菌】
様々な精油成分の中でもヒノキチオールなどの酸性油が、カビなど多くの菌に対する抗菌性が高いとされています。「ヒノキチオール」の名称は、タイワンヒノキから発見されたことに由来します。(元々、国産のヒノキにはヒノキチオールは存在しないといわれていましたが、近年国産のものにも含まれることがわかったようです。ただ、学術的に正式に認められた段階ではないようです)ヒノキチオールの含有率の最も高いものが青森ヒバなのです。写真(資料2)は、黄コウジカビを培養しそこに青森ヒバ、ヒノキ、スギを置きカビの繁殖を比較したものです。青森ヒバにはカビが寄り付かないという結果が顕著に現れています。
2.癒しと消臭効果 【香り】
青森ヒバは、なんとも清々しい木の香りが印象的な樹種です。この香りも精油成分の多くを占める中性油・ツヨプセンに由来するもので、気持ちをリラックスさせる精神安定効果が期待できます。日本古来の樹種である青森ヒバの香りを和のアロマとして楽しみながら、お部屋で森林浴気分を味わうのもいいかもしれません。アロマオイルをはじめ、青森ヒバの天然の香りを生かした様々な商品が出ており、入浴剤や石鹸など私たちの身近に存在します。
また、癒しの香りと共に、悪臭を防ぐ効果も発揮します。青森ヒバの強力な抗菌作用が、雑菌から出る不快なにおいを消臭・脱臭してくれます。天然の消臭剤としても効果的です。
3.虫を寄せ付けない 【防虫】
強い抗菌作用とともに特長的なのが、青森ヒバの防虫効果です。他には類をみないほど強い効果があることが証明されていますヒバを使った家にはシロアリなどの害虫が寄らないと言われるほどです。さらに、寄せつけないだけでなく、殺蟻性もあることが証明されており、製材後6年経っても効果が劣らないという説もあります。このような特性から昔から社寺仏閣などの重要建築用材としても使用されてきました。木造の復元天守のひとつである掛川城の天守閣には、戦後に行われた復元の際、青森ヒバが使われています。
北米大陸のアラスカ州南東部からオレゴン州にわたって分布するベイヒバも青森ヒバと同一なものと思われがちですが、植物学上ベイヒバはヒノキ科ヒノキ属であり、ヒノキ科アスナロ属である日本のヒバとは同属ではありません。
色や香りが青森ヒバに似ていることからベイヒバと呼ばれるようになったようです。
青森ヒバを約半年、経年変化を観察したサンプルです。白木の色から綺麗な飴色に変化しているのがわかります。施工当初より次第に落ち着いた色味に変化していくのも楽しみです。
他の樹種にはないほど、様々な効能を持つ青森ヒバ。見た目の美しさに加え、心地よい香りとヒバ油の特性を活かし、それらを住宅の中に上手く取り入れるのも良いかもしれません。
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