「無垢材=体に良い」というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、具体的にどのような効果があるのかをご存知でしょうか?
踏み心地や調湿効果など無垢材が私たちの健康に与えるメリットはたくさんありますが、そのうちの一つに「抗菌作用」があります。
最近では日用品など身の回りのものにも抗菌加工が施されていることが多くなってきましたが、過酷な自然界で自らを守り生き抜いてきた木材の中には、加工をせずとも元々抗菌の力が備わっているものがあります。
無垢材の抗菌性の高さの秘密は、木材の中に含まれるフィトンチッドにあります。
アロマテラピーの香り成分としてよく知られるフィトンチッドですが、本来は植物が細菌や他の生物から自分自身を守るために放出する揮発性物質のことを指します。このフィトンチッドの含有量は樹種により異なりますが、特にスギ、ヒノキ、青森ヒバなど芳香性の高い針葉樹に多く含まれています。
あたたかみのある踏み心地が床材としても人気のスギですが、その抗菌性の高さは食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌の培養実験で証明されています。
黄色ブドウ球菌の菌液を、スギ、塩化ビニル素材、コピー用紙を細かくしたものに添加して培養する実験が行われました。
18時間培養した菌を生理食塩水で洗い出し、菌が含まれた液を寒天培地に塗ってさらに培養し、観察されたコロニーの数を比較したところ、スギは他素材と比べ、なんと約2000倍の抗菌力があることがわかったのです。
※コロニー:細菌が繁殖して目に見えるようになった集合体のこと。
実験の詳細はこちらをご覧ください。
▼木の家の健康を研究する会
https://www.kitokenko.com/exp_05
気づいていない方も多いかもしれませんが、私たちが日々使用している道具の中にも、抗菌性の高い木材が隠れています。
細菌などの繁殖を抑え、食品の傷みを防いでくれるため、スギはお櫃やわっぱに、ヒノキはまな板や寿司下駄に・・・とさまざまなシーンで活用されていますので、ぜひ探してみてください!
無垢材の抗菌作用についてはこちらでもご紹介しています。
▼木材の抗ウイルス・抗菌作用 ―木と健康に暮らす―【720 号】
https://www.mokuzai.com/contents/column/antivirus/