2017.04.05 | 経年変化
経年劣化という言葉があるように、多くのものは使い始めが最も美しく、月日が経つにつれて劣化していきます。しかし、無垢木材は3年、5年、10年と年月の経過に伴い、歴史を刻んだ表情が味わい深くなっていきます。今号では、使い込むほどに風合いを増していく無垢木材の経年変化についてご紹介いたします。
無垢木材の経年変化においての代表的なものとして、美しい色の変化があげられます。10年間まったく同じ色をしている無垢木材はひとつとしてありません。色濃く変化していくものもあれば、少しずつ明るくなるものもあります。
例えば、アメリカンブラックチェリーは、サーモンピンクのような淡い色で始まり、数ヶ月で深みのある琥珀色へと変わっていきます。少し青みがかったダークブラウンをしているウォールナットは、数年経つと全体的に明るく、穏やかな赤茶色へと変わります。また、銘木として知られるチークは、最初はシミのような模様や黒いスジがありますが、時間が経過すると色ムラが穏やかになり、シミやスジが薄れ整った印象になります。このように無垢木材は、樹種ごとに異なる色味の変化を経て風合いが増してきます。
代表的な色の変化と、その理由については下記をご参照ください。
画像2:ピーカンの経年変化
画像3:アッシュ[熱処理]の経年変化
どんなものでもいずれは傷が付いてしまうものです。もちろん床にも傷は付きます。では、無垢フローリングに付いた傷とその他のフローリングに付いた傷は何が違うのか。それは「見え方」です。
例えば、一般的に使われている突板(0.3mm以下の薄い表面材を合板に貼り合わせた複合フローリング)に傷が付くと、傷の深さによっては中の集成材が見えてしまうこともあります。しかし無垢木材は、厚み方向に貼り合わせがない、一枚の板そのものであるため、傷の深さに関わらず、色みや素材が変わることはありません。
写真(画像4)はショールームで10年以上使用してきたウォールナット材のベンチです。長い年月の中でたくさんの傷が付いているのが分かります。しかしこの傷がショールームの歴史を感じさせます。
無垢木材の傷は、そこで暮らす人々の歴史そのものです。柱の傷と同じように、この世でただひとつの物語になっていくはずです。
削り立ての無垢木材は、淡い色をしていたり、色ムラが現れたり、どことなく初々しい表情が特徴的です。しかしそれはある一定の期間までです。なぜなら、無垢木材は使い込むほどに表面が磨耗され、自然なツヤが生まれてくるからです。歩くこと、乾拭き掃除を繰り返すこと、メンテナンスをすること、日々のそうした行動の繰り返しが、深みのある自然な美しいツヤを作り出すのです。使い込むほどに自らの手になじみ、味わい深いツヤが生まれる革製品のエイジングと似ています。
傷やシミが付いても味わい深い無垢木材ですが、もしも写真(画像5)のような大胆な傷やシミを取りたいとお考えなら、サンディングして再塗装することで新品同様に生まれ変わらせることも可能です。
こちらの住宅は大型犬を室内で飼われており、床にはさまざまな形状のシミや傷がたくさん付いている状態でした。このように大きな傷やシミが付いている場合でも、表面をサンディングして再塗装することで、新しい木肌が出てきて、きれにな状態に戻すことができます。
下記の写真(画像6)のように新品同様に生まれ変わらせることができるのも、無垢木材の醍醐味です。
もちろん、できる方は日常的にお手入れしていただいてもかまいません。無垢フローリングの日常的なお手入れ方法は下記を参照ください。
時間の経過とともに色の美しさが増し、傷さえもご家族の歴史となり、お手入れすることで愛着が生まれる無垢木材。新品のデニムよりもヴィンテージデニムの方が高い価値であるように、フレッシュな味わいだったワインが年月を重ねるほど熟成し芳醇な味わいとなるように、無垢木材も、経年で表情が味わい深くなっていくのを楽しめる素材です。10年後、20年後の姿を思い描きながら、樹種を選んでみてはいかがでしょうか。
マルホンの無垢木材について
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無垢木材の「質感」・「香り」・「あたたかみ」を実際に体感いただくため、 株式会社マルホンでは、浜松と東京、大阪、福岡の4箇所にショールームを開設。 いずれもフローリングやパネリングを始めとする、国内外の豊富な木材をご紹介しております。
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