メンテナンスシリーズの最終回は、建物の外部の巻です。
最近では、外壁やデッキなども自分でメンテナンスをする人が増えています。
外壁やデッキなど、風雨にさらされる木部は、経年変化に対して、どのタイミングで塗装を塗り替えてもらうか、ということが重要になってきます。
外部は常に気候の変化にさらされています。
日本の場合は高温多湿ですから、ヨーロッパなどに比べて、劣化は早い速度で進んでいきます。 外部に使用している木材の劣化の要因は、ひとくちには言えませんが、塗装に最も影響があるのは、太陽光に含まれる紫外線で、光酸化作用で木材成分を分解していきます。 どんな種類の木材を使っても、経年変化は防ぐことはできません。
着色しないクリアー塗装をしているものは、樹種を問わずグレーがかった色になっていきます。 この経年変化のグレー色は、他にはない味わいがあるということで、あえて変化したグレー色を意匠的に活かすケースも増えています。
そもそも外部の塗装に用いる塗料には、造膜型と含浸型があります。造膜型は顔料を含むエナメル塗料やウレタン塗料、あるいはペンキなど。 経年変化でグレーに変色するのを防ぎたい、竣工当時の状態をできるだけ保ちたい、という人には造膜型の塗装が向きます。
しかし塗膜が割れたり、塗膜付着力が低下する(すなわち剥がれる)という、別の問題が生じることは避けられません。 ですから、それでも竣工当時の状態を保ちたいなら、半年に一回くらい塗り直しをする必要ができてきます。 これはあまり現実的に実行できるメンテナンスとはいえません。 だからといって、何年も放置しておくと美観を損ね、塗り直しをするときには、塗膜を剥がすという大掛かりな手間がかかります。
(上)施工時の状態 (下)施工後数年後
一方、含浸型の塗料は、表面を保護する力は造膜型に比べて劣るので、先に述べたような木材の変色、撥水性の低下、微生物による変色などの問題が起きます。 しかし、最近では、自然素材の経年変化は、単なる劣化ではなく、時を経ったからこそ生まれる味わいととらえる傾向にあります。 そう考えれば、メンテナンスとしては、最初のうちは1〜3年に一回塗直し、その後は5年ごとくらいの塗直しで、いい状態を保つことができるでしょう。含浸透型の塗料とひとくちに言っても、腐敗還元型の自然塗料と還元されない化学系塗料に分かれます。 一般的には化学系が主流ですが、デッキなどのように、ペットや小さな子供が裸足で走り回るような場所は、できれば安全で安心な塗料で仕上げたいものです。
ここ数年、「LOHAS(ロハス)」という言葉もよく耳にするようになりました。Lifestyles Of Health and Sustainabilityの頭文字をとった略語で、よりよい健康と地球環境を目指した意識の高いライフスタイルを指しています。
弊社が扱う「Arbor外装用クリアーオイル」は、亜麻仁油、(木目を活かす)、桐油(撥水性)、蜜蝋ワックス(紫外線をカット)、Dリモネン(溶剤)、天然樹脂(表面保護)をブレンドしてできた、外壁用の自然塗料です。 無垢の木材には自然塗料が最も適しているという考えから扱い始めた自然塗料ですが、「LOHAS(ロハス)」の考え方にも通ずる、人にとって安全で環境にも配慮した、自然に還る塗料です。
こうした自然オイル系の塗料を使いつつ、それでもやはり経年変化を少しでも遅らせたいなら、施工の段階で着色をする方法もありますが、着色料には重金属等の化学物質が含まれることがあります。 自然塗料にこだわるなら、耐久性の高い腐りにくい木材を使用し、「Arbor外装用クリアーオイル」のような100%自然素材の原料を塗装する方法をおすすめします。こうすることで腐りや割れを抑え、かつ味わいある経年変化を楽しむことができます。
また、塗料が造膜型であろうと含浸型であろうと、素材の木材自体の含水率が、実はのちのメンテナンスにも大きな影響を及ぼします。 高い含水率の木材を使用すると、表面の塗膜や油分により、木材からの水分が抜けるのを妨げてしまい、変色やカビの原因となります。 含水率が20%前後のものあるいはそれ以下のものを使用すること、もしくは耐久性の高い木材を使用することで効果的に変色や割れを防止することができるのです。
きちんと乾燥した材を使うことが、実は塗直しを最小限に抑える第一歩といえそうです。
注)現在デッキ材のお取り扱いはございません。
(上)イペボードウォーク (下)マニルカラデッキ
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無垢木材の「質感」・「香り」・「あたたかみ」を実際に体感いただくため、 株式会社マルホンでは、浜松と東京、大阪、福岡の4箇所にショールームを開設。 いずれもフローリングやパネリングを始めとする、国内外の豊富な木材をご紹介しております。
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