2008.05.20
人間は“見る”ことを意識しなくても、常に目から情報を得ています。情報は無意識のうちに心や脳へ伝わり、何かを感じ取ります。無垢木材の木目を目にすると「落ち着き」や「安らぎ」を感じます。木目は等間隔のようにみえて、実は微妙なズレがありこのゆらぎが人の感覚を心地よく刺激するとされています。
そこで今号では木材の及ぼす視覚効果についてご紹介します。
木材を目で見て「あたたかい」と感じるのは、木材の色は一般に暖色と呼ばれる黄色〜赤色が基調だからで、反射光の中に波長の長い成分が含まれていることに由来します。また、木材は非常に短い波長の紫外線をほとんど反射しないので、目に対して刺激が少ないことが特徴です。よって、木材を使用した部屋は目にやさしい光であふれていることになるでしょう。
詳しくは、下記をご参照ください。
さらに木材は、独特の光沢があります。これはなぜでしょう。
それは、木材の細胞構造に起因しています。木材の細胞には微細な凸凹があります。よって、光の反射は、木材の繊維方向に平行に光を当てたときと、直角に光を当てたときとでは異なるのです。繊維に平行に光を当てると、光の多くが正反射(鏡面反射)するのに対し、繊維に直角方向に光が入ると、細胞側壁で光が散乱し強い反射が生じません。このような光の反射が、方向により異なることによって、独特の光沢を生み出しています。
さらに細胞の凹凸は、光の正反射を少なくしているため、“まぶしさ”を軽減しています。したがって、“まぶしさ”の強い金属やプラスチックと比較すると、木材にはそれぞれの樹種特有のテクスチャがあり、味わいが生じるのです。
図:光の反射 モデル
部屋中が真っ白い壁や天井、床の中で過ごすと、緊張感や疲労感が高まるといわれ、血圧が上昇し、脈拍数も多くなるという実験結果があるようです。では、部屋中全体を木材で仕上げるとどうなるのでしょうか?上記でもご紹介したように、木材は目にやさしいという特徴があり、さらに癒し効果があるといわれているので、よりリラックスするのかと思われますが、実はそうとも限らないようです。
こんな実験があります。内装に使う木材の使用率(木材率)を変えた部屋、①木材の使用率30%の部屋、②45%の部屋、③90%の部屋(いずれも残りの内装は全て白壁)をつくり、視覚的に快適性の影響を調べた結果、主観的な快適性は木材率30%(床のみに木材を使用した程度)、45%(床と腰壁に木材を使用した程度)、90%(床、壁、天井に木材を使用した程度)すべての部屋が快適であると評価され、中でも特に、45%の部屋が最も好まれるという結果が得られました。
脈拍数を比較すると、30%の部屋では有意に低下し、逆に45%の部屋は有意な増加が認められました。これは30%の部屋は快適と感じ、脈拍の低下は「生体がリラックスしている」という結果です。また、45%の部屋は「ワクワクした状態になった」と考えられ、交感神経活動が盛んになり、快適であると評価したといえます。では、90%の部屋はどうかというと、「快適である」と評価はされたものの、80〜90秒にかけて脳活動が急激に低下しました。これは、「飽きた状態になった」とも考えられます。
もちろん、こうした評価は個人の価値観が重要視されるべきですが、興味深い実験データです。
現在の住宅は、木材率20%程度だといわれています。木材ならではのよさ、他の素材のよさ、これらをうまくコーディネートすることでも、快適な空間が生み出されるのではないでしょうか。
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