リラックスする木の香り

 木材には、フィトンチッドというリラックス効果をもたらす成分が含まれています。

 フィトンチッドとは、絶えず侵入してくる虫や細菌から身を守るために、樹木が自ら作り出し発散している物質で、木の香り・色などのもとになる成分でもあります。1930年頃、ロシアのボリス・トーキン博士が、植物を傷つけると、その周囲にいる細菌などが死ぬという不思議な現象を発見し「植物」を意味する 「フィトン(phyton)」と「殺す」を意味する「チッド(サイド=cide)」を組み合わせて名づけられた造語です。

 他の植物や細菌などを撃退する働きをもつフィトンチッドですが、森林浴に代表されるように、人間にとっては癒しをもたらす効果があります。血圧を下げたり、脈拍の乱れを少なくするなどの自律神経を安定させる効果が実験で確認されています。特にマツやヒノキといった針葉樹はフィトンチッドの発散量が多く、免疫力向上に寄与するとの論文も発表されています。
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 また、樹木が持つ独特の芳香には、気分を落ち着かせる効能があるといわれています。例えば、木の香りのする部屋で就寝すると疲れが早く取れるといわれています。
 ちなみに、日本人にとっての癒しの空間であるお風呂。昔からヒノキ風呂は、「高級」「上質」「贅沢」の代名詞とされ、ある種「憧れ」の存在となっていますが、ヒノキの芳香には、リラックスするときに脳内に発せられるアルファー波の量を増やすことが分かっています。入浴で身体を暖めることによる癒しに、ヒノキの芳香によるリラックス効果がプラスされるからこそ「憧れ」の存在となっているのかもしれません。