柿渋の歴史は古く、平安時代末期から使用され、江戸時代に入ってから木材保護や染料、投網の防腐剤など、幅広い用途に用いられてきました。日本の伝統文化とも言える柿渋で仕上げた天然木は、暮らしのなかに自然の温もりと数々の効能をもたらします。
■柿渋の優れた効能
渋柿の液汁を発酵熟成させてつくられる柿渋は、防腐・防水・防虫・抗菌作用など、多くの優れた効能を持ち、太古の昔から日本人の暮らしのなかに採り入れられてきました。
近年、主成分であるタンニン(柿ポリフェノール)の効能が科学的に解明されたのを機に、染料や塗料、薬剤、食品などの多分野で注目されています。
柿渋を塗布して6ヶ月後
ポンデロサパイン
■日本の伝統色・柿渋
昨今顕著となってきた日本の伝統文化を見直そうという気運と、根強い健康・自然志向とが結びつき、塗料としての柿渋に対する評価が高まっています。
森林の新緑や紅葉が様々な色によって全体が構成されているように、ベタの赤茶色ではなく、微妙に異なる色合いが複雑に混ざり合うことで“柿渋の色”がつくりだされています。そのため、単なる懐かしさではなく、癒しと和みの色として現代人に認知されているのではないでしょうか。
なお、柿渋は鉄分に反応して黒ずんでしまいますので、鉄釘の使用や鉄製容器での保管は避けてください。
■柿渋仕上げの商品の特徴
<木の魅力を増幅>
自然塗料の柿渋は天然素材である木材との相性が良く、あらゆる樹種に使用できます。仕上げると表情に深みを与え、木の持ち味や魅力をさらに増幅します。
タモ 柿渋仕上げ
<次第に味わいが深まる経年変化>
柿渋は塗装直後にはあまり色が出ませんが、2〜3ヶ月後から色合いの変化が顕著になります。木自体の経年変化との相乗効果で、趣のある風合いを楽しめます。
なお、自然塗料を上塗りすることで、柿渋自体の定着と防水効果がより高まります。
<柿渋はシックハウスの薬になるの?>
最近の研究で柿渋にホルムアルデヒドを吸着する効果のあることが確認されています。柿渋メーカーの調べによると、1.8mg/Lのホルムアルデヒド放散量のある部屋の内装に柿渋を塗布することで、数値は0.03mg/Lに削減されました。